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↓同人誌『少女マンガ2』発売中
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震災に負けるな!2

カンボジアを舞台にした
読みきり3本掲載されてます。
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テニス・ジャーナル誌にて連載終了しました大学テニス部マンガ
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20141205 Fri
シルクファームとさらばカンボジア 

シルクファームとさらばカンボジア 

10/12続き
12時ギリギリ過ぎて宿をチェックアウト。
荷物だけ置かせてもらい、W朝食でお腹も減ってないので早速出発。

蚕が見られると、クマちゃんに教えて貰ったシルクファームまでは
結構な距離なので、バイクタクシーと交渉。
3人で溜まってるドライバーに声を掛けると、商売の下手そうな1人に代わって、
もう2人が交渉に応じてくれる。面倒見がいい。
英語が出来ないと安く乗せてくれるんだろうか?
指差し会話帳を片手に連れて行ってもらうも、道に迷う…No…!
この人、ドライバー初心者なのかもしれない!

…というわけで、アーティザン・ダンコールシルクファームへ。
アーティザン・ダンコールは、フランス人経営の、工芸支援活動を行っている団体。
シェムリアップ・プノンペンの空港の免税店にも入っている、
カンボジアではとてもメジャーなブランドといったところ。
シルクファームは伝統工芸品の技術学校・工場・直営店を兼ねている。

入るとすぐに、日本語を話せるスタッフが案内してくれる。
彼は、日本語繋がりか、クマちゃんとも顔見知りだそう。
シルクファーム1シルクファーム2
庭が高級ホテルのよう。
植え込みにはタイや日本の桑が植えてあり、紹介してくれる。
庭の外側にある桑畑も眺められるようになっている。

次に蚕の建物に案内される。
虫がダメという人もいるので、蚕の案内はブログ最後に追記しました。
末尾の、続きを読む>をクリックすると開きます。

蚕の後は、シルクの工場へと移る。
伝統の森でも見た、繭の煮出し。
ここでは、内繭と外繭で糸を使い分けるために、煮出しの段階から分かれている。
シルクファーム3シルクファーム4
小さい方がオスで大きい方がメス。
ここではオヤツ蚕は食べられなさそうですね。

糸紡ぎ。森と同じ道具もあった。
シルクファーム5シルクファーム6
繊細な方が内繭、粗いほうが外繭を紡いだモノ。
シルクファーム7
機械がでっかいぞ!でも動いてる所は見られず…
シルクファーム8シルクファーム9
この日は日曜日だったので、従業員の数も少なく、3分の1くらいしか稼働してませんでした。

括りの作業。すごく手速い!
シルクファーム10
ここではナイロン製の紐を使っていた。
「昔はバナナの木から紐を作っていた」と説明される。森では使われていたな…

多分、検品中。
シルクファーム11
織りの工場へ。
シルクファーム12
右手に持っている道具を、頭の上の方でリズミカルに振っていた…
一体どういう仕組みなのか?

ところで、案内をする通訳スタッフは入り口で待機していて、
お客さんを見て欧米系なら英語や仏語、
アジア人なら中国人・韓国人・日本人を聞いて、それぞれ担当につく。
私は受付で聞かれる間も無く、日本語で案内されたので、
なぜ分かったか聞いてみると、
同僚に、日本人と教えられたから、だそう…

同僚って…アレ!?
一昨日、クマちゃんを伝統の森に連れてきて、一緒に素麺をすすった、
バイクドライバーの友達じゃないですか!?
リトさん
聞けば、英語を話しシルクファームに勤めている、クマちゃんの弟さんだった!
気を遣って、友達ってことにしたのかも。
流暢な英語で立派に働いてらっしゃいました。素晴らしい!

工場現場の後は、カンボジアシルクについての展示室へ。
織り機を始め、森で見たのに近い道具が一通り展示されていた。
骨董品という扱いなのか?
シルクファーム13
大きいピダンも1枚掛かっていた。
シルクファーム14シルクファーム15
最後の方は、カンボジアの様々なシーンの民族衣装が並んでいた。

蚕の繭をふんだんにあしらったウェディングドレス!
シルクファーム16
このセンスはいかがなものか?と思う…

展示室の後には、ショップに辿り着くようになっている。
撮影禁止なので写真は撮れず…デザインのパクリ防止なのか?

広い店内は、まるで青山辺りのインテリアショップのよう。
服やバッグの他にも、インテリアのファブリックや、雑貨が並ぶ。
どれもオシャレで、女性にプレゼントしたら喜ばれそうだけど、
さすがにお土産価格で、いいお値段します…。
けれど逆に、日本のデパートで買えそうな物ばかり。
もしかして、どれもフランスのデザイナーの物かもしれない。
いい意味でも悪い意味でも、カンボジアらしさは少ないです。

どの観光地にもあるような、カンボジア版のシルク民芸館といった感じ。
それこそ、時間の少ないツアー客が、カンボジアのシルクを知るにはうってつけだと思う。
けれど個人旅行派の自分としては、もっとカンボジアらしいところが見たいと思ってしまう。
見せて貰った作業場も、IKTTの工房を見た後だと、正に工場。
職人は、殺風景な環境のせいか、お客さんの往来のせいか、
談笑出来る雰囲気ではなさそうで、黙々と作業をしていた。
まあでも、日本の仕事もこんなもんでしょう。
むしろIKTTの工房が、ゆったりし過ぎているんだと思う。あのペースじゃ漫画は描き上がらない。
それはそもそも、目指しているものが違うからだろう。
IKTTは非営利団体で、資本を生む以上に、質の高い布を生むことが求められている(と思う)。

森本さんは、昔から布には3つの役割があると言っていた。
一つ目は、精神世界、神仏にお供えするもの
二つ目は、王侯貴族、上流社会の人々のもの
三つ目は、日常着。カンボジアのクロマーなど、生活に使う物
この三つだ。
きっと、IKTTの布は一つ目に、
アーティザンの布は二つ目に、
市場で手に入る布は三つ目に分類される感じだと思う。

IKTTのピダンのような布は、なにより品質とセンスが重視で
どんなに欲しても、森本さんご本人が作り出すことは出来ない。
カンボジアに居る人達が作ってこその物だから、
森本さんは彼らの作り方を尊重して、ひたすら支援に徹したんだと思われる。

けれど、このアーティザンの布は、自分達が欲しいデザインを、
カンボジアの材料を使って、自分達のやり方で作らせている感じ。
(違ってたらすみません)
お金を産むノウハウは、先進国の方が持っているし、
それを踏襲した方が、利益に繋がるし雇用も増える。

頭では分かるけど、みんなお金が欲しいとも言ってたけど、
単純に、観光地としてつまんない。
はるばる遠いところから旅行しに来てるのに、どこの国にもあるような工場よりは、
その土地特有の道具を使った工房とかのが、行って見て面白い。

しかし私も含め、インタビューしたIKTTの職人さん達も
みんなお金が欲しいと思ってる訳で、
品質や面白さと、利益や効率化との間で
ジレンマを抱えちゃうなぁ…なんてことを考えてしまった。

シルクファームのショップを出ると、オープンカフェがある。
お腹が空いてきたので覗くけど、カンボジアっぽくないのでやめる…
シルクファーム17
なんだかんだ言ったけど、あれだけ案内してもらったくせに、
一銭も払わなかった…申し訳ない気持ちになる…

シルクファームからオールドマーケットへ向かう。
国道6号線は、日曜日なのに道路工事をしてた。
女性の作業員もいる。暑そう…お疲れ様です。
道路工事道路標識
不発弾の標識。前回の旅でも見たけど、シェムリアップにもあるのか…
どう気を付ければいいんだろう…?

オールドマーケット到着。お腹も空いてるけど暑い!
とりあえず、フルーツシェーク屋さんにオススメを聞いてオーダー。
マンゴーとパッションフルーツ。
待っている間、正装を来た人達の行列がゾロゾロ。
結婚式?と思ったが、お祭りと教えられる。カティン祭りの関係か?
シェムリ祭りフルーツシェイク
シェーク屋さんに、ここで飲め!といわれてその通りにしたら、
カップに入り切らなかった、ミキサーの中身を継ぎ足してくれた!良い人だ!

飲みながらマーケット…と思うも
先にIKTTのショップに向かうことにする。
朝、ポピュラーのレストランで包んでもらったレモンパンケーキを
置き忘れてたことに気付いたので…
けれど、置いてあったはずの場所に無い。処分してくれたのかもしれない。
再び、店を覗く。
工房は日曜日で休みなのか静か。お客さんも私一人だった。

初日にあった、気に入った布は、まだ同じ場所に掛けてあった。
それともう一枚、使いやすそうな薄黄色のストールも気になってた。
来週、友達の結婚式に出るので、良い羽織モノがあったら買ってもいいよね…
とも思ってて、財布の紐はかなり緩い状態になってる。
絣か無地か…羽織り比べてみる。
ストールも良い感じだけど、絣はすごい!
ちんちくりんな私でも、大人のマダムに変身させる!
けれど、ストールの値段の11倍!!
わーーーーどうしようーーーー!!!
お腹が減り過ぎて頭がまわらない…
とりあえずゴハン食べてから考えよう…そう思って店を出て、道路に出てから立ち止まる。
時間が無いから、ここで店を後にしたら戻って来れなくなるかもしれない。
気に入った布が2枚もあったのに、持って帰れなくなるかもしれない!

再び戻って、薄黄色のストールをレジに持っていく。
第一希望は、当然絣だけど、折衷案をとってしまった。
いいよ…無地は薄いし軽いし、きっと沢山使い倒せる。
絣じゃ、もったいなくてタンスの肥やしにしちゃってた、きっと。
次来る時は、絣のお気に入りをゲット出来るように
働こう…真剣に働こう!!(2度言ってみた)

ヘトヘトになってオールドマーケット付近へ戻る。
もうゴハンを食べる時間が無いけど、喉乾いたしトイレも行きたいし、とりあえず座りたい!
お土産のクラタペッパーを買った店で、日本人のスタッフに、ちょっと休める店を尋ねると、
ブルーパンプキンさんなら間違いないです。」
と勧められて行ってみる。

パンとケーキとアイスのお店だ。
日本にもありそうだし、食べ物も日本と値段が変わらない気がする、つまりお高い。
コーヒーとブラウニー買って、やっと椅子に座る…疲れた…
ブルーパンプキンブルーパンプキン2
ブラウニーは、今まで食べた中で最高峰に美味しかったです!
チョコとナッツがゴロゴロ!甘い物補充で生き返った!

オールドマーケットで急いでお土産を買う。
昔は、旅の楽しみと言えば買い物だったのに、今では観光の方が楽しくなってる。
気持ちって変わるもんですね。

…とか良いながらも、予定の時間を過ぎてしまったので、
トゥクトゥクに乗って急ぐ。
さようならシェムリ
さようならシェムリアップ!
宿の荷物ピックアップして空港へ。
ギリギリ遅れてチェックイン。

シェムリアップの空港は工事してた。
次に来る時は、より大きく、よりキレイになっていそう。
13年前は小さくて暗くて怖かったのに。
さよならシェムリ2
シェムリ~ハノイの機内食。パンに蒲鉾を挟むって発想は今まで無かったです。
シェムリ機内食
ハノイ到着。トランジットで3時間待機。
残りお土産を物色するも、シェムリのがセンスが良かったなと思う。
ハノイ空港
お土産ベトナムコーヒーを購入した後、ネットしたり、読書したりしていた。
そう、コレを。

カンボジア絹絣の世界―アンコールの森によみがえる村 (NHKブックス)カンボジア絹絣の世界―アンコールの森によみがえる村 (NHKブックス)
(2008/01)
森本 喜久男

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滞在した後に改めて読み返してみると、大概のことはこの中に書いてあった。
予習してれば、もっと話を拡げられたのかもしれない…orz
でも、理解度は深くなったなぁと思う。

深夜0時過ぎ…眠い…
ハノイ缶コーヒー
しかもこのベトナム缶コーヒー、あまり美味しくない。

眠気と闘いながら機上へ。
日本付近は大型台風で揺れるからと、早々に機内食が運ばれる。
どんなに眠くても、出されたら平らげなくちゃ!
ハノイ機内食
でも、眠くて味はよく分からなかった。
そして、寝て起きたら成田だった。
疲れが抜けない…

成田でリュックを引き上げたら、チャックが疲労骨折してました。
長い間ありがとう、お疲れさま!
リュックのチャック

コンクリートジャングル東京は、ひんやりしてキレイな街並み、伝統の森と大違い。
つい2日前まで、電気が夜にしか通らない自然の中にいたのが、ウソのようだ。

しかし…途中デパートのトイレに立ち寄り、
フタをセンサーで開けるタイプのゴミ箱を目にした時は、
電気のむだづかいやろ!?と思う。日本の気遣い激しすぎる…

疲労困憊ですが、無事家に帰り着きました。
長々、お付き合いありがとうございました。

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20141201 Mon
ピダンとスレンさんとソガエットさん 

ピダンとスレンさんとソガエットさん 

10/12
ついに最終日。もそっと起きて準備して部屋を出る。
同室の人も朝早い。廊下からの景色と、
受付奥のすごい漫画棚!これが向かいの壁にも同じだけある!
朝ヤマトマンガ
いいなぁ漫画喫茶よりも安く漫画楽しめるじゃん!
…と一瞬思うけど、交通費と食費も入れたらバカにならないよね…

ボルダリングのスペースもある。体力と時間的に出来ないけど。
ヤマトクライムヤマト掲示板
右の掲示板はそれぞれ、「ベンメリア行き」と「プリアヴィヘア行き」を
シェアする人達を募っている。
定員に達すると、割安価格で観光が出来る。

朝食をなにか…森では胃腸は快適だったけど、
折角の最終日だしカンボジアっぽいモノが食べたい。
前回・前々回も食べたノンバンチョックにしよう!
けれど近隣のお店にはない…探せばあるよね?
というわけで、朝からさまよい歩く。

国道6号線のスターマート。
左は現在、右は前回の6年前。歩道が整備された。
GSmati2
初めてカンボジアに来た14年前既に、このスターマートはあったけど、
この近代的な外装は、当時異彩を放ってた気がする。

泊まっているクロマーヤマトGHの外観。
ヤマト外観

歩けども、タイ風麺のクイティアオボボーというお粥はあるけど、
ノンバンチョックが本当に見つからない。なぜ?手当たり次第店を覗く。

いい匂い…超うまそう!炭火でお肉焼いてる!!じゅるり!
でも朝からじゃ重いよなー。目指してるものが違うので泣く泣く素通り。
炭火レストラン1炭火レストラン2
ノンバンチョ…ノンバンチョ…KFCにハイアット…目立つ!
KFCハイアット
ノンバンチョ…ノンバンチョ…朝のバーストリート
バーストリート立派なビル
ノンバンチョ…ノンバンチョ…
とうとうオールドマーケットまで来てしまった…
オールドマーケット1オールドマーケット2
ノンバンチョ…ノンバンチョ…
あったーーーーー!!!
ナンバンチョック
ただこれだけのために、盛大な散歩すぎました…

約束の時間まで微妙に時間があったので、前回、前々回と泊った宿に行ってみる。
今回も泊まろうと思ってネット予約を調べたら、大分値上がりしてたので諦めました。

元ポピュラーGH、現ポピュラーブティックホテルに到着。
なんだこれは…!?値上がりも納得…プールまである…
昔はツインで7$だったのに…
ポピュラーポピュラープール
中でトイレだけ借りたかったけど、そんな雰囲気じゃなかったので、
本日2度目の朝食…フルーツシェイクとレモンパンケーキ
シェイクパンケーキ
ノンバンチョックはなんだったんだろう…
食べきれなかったので包んでもらう。

予定外のW朝食で時間がぎりぎりに…急いでIKTTショップへ向かう!


9時にクマちゃんと待ち合わせ、先に到着してた。
少しだけショップを覗く。
昨日見せて貰ったピダンも飾られてて、つい値段を確認。おおぅ…
今日はこの、ピダンについて色々尋ねてみたい。

昨日、森本さんの家で見せて貰ったピダンの製作者、
デザイナーのスレンさんと織り手のソガエットさんと会い、お話を聞く。
主に答えてくれたのがスレンさんだったので、彼女の話中心に纏める。

お二人はタケオ州出身で、スレンさんの夫が
ソガエットさんのいとこで、遠い親戚同士の間柄。

2人のお祖母さんの世代は、徳を積む為にピダンを作りたいといつも思っていて、
村の人達と相談してお金を集め、絹糸を買って織り、
お祭りの時には、織物をやっていない遠い貧しいお寺に祀っていた。

そして、もっと頭が良くなりますように
もっとキレイになりますように
来世の幸せの為、あの世に行っても困りませんように
生まれ変わったらこうなりたい…
など、様々な願い事を祈っていたそうだ。

ところが、スレンさんが若い頃にはカンボジアは混乱期。
ポルポト時代には、都会人や知識人中心に殺害され、
田舎の人は比較的殺さなかったとはいえ、
村に軍隊が来るとすぐに避難し、爆弾を避けて寺に逃げたこともあったそう。
その時期、家族が離れ離れになり、6人兄弟のうち2人は亡くなってしまい、
4人兄弟になり、それまで家にあった象の柄のピダンも、無くなってしまったらしい。
それ以外は、布を織り畑を耕し、普通の生活をしていたという。

スレンさんが幼い頃は、カンボウジュ種の黄色い絹糸を
紡ぐバイトをしていたこともあったが、ブランクがあり、
ポルポト政権から解放された16歳の頃からやっと、ベトナムシルクで織物を始められた。

タケオ州はプノンペンまでは近く、歩いて半日の距離。
村はジャングルにあり、商売をしている人達は、象を使って市場まで移動していたという。
しかし、ロンノル時代にクーデターが起こり、内戦が勃発してからは
プノンペンに入るのが禁止され、せっかく織ったホール(絣のスカート)も売れず、
仲買人に売っていた。ベトナム軍もカンボジア軍も出入りして大変だったようだ。
当時はポルポト軍管轄で、蚕を育てている所があったらしく、
村の人は、そこから絹糸を買ってスカーフを織ったり、クロマーを作ったりしていた。
ポルポト軍に、布を織れと指示されていたが、断っていたという。

スレンさんの夫のお母さんという人が織物名人だったらしく、
20年程前に、森本さんが見学にいらしたそうだ。
スレンさんにとって、森本さんは初めて見た外国人。
当時は白くて若くてかっこ良かった、今ではクメール人のようだ…と言っていた。
96年、トールさんの話にもあったが、プノンペンでカンポットの人達と初めて会った。
スレンさんが、IKTTで働こうと思ったのは、
3人いる息子さんの外国語の勉強を支援するためだそうだ。

昨日見せて貰ったピダンが、生まれた経緯を知りたいので尋ねる。
2003年頃に着手し、普通のホールだったら、2ヶ月くらいで出来る糸括りが
カナールにして500本!(ライさんに見せて貰ったのが25本だったので20倍…)
6ヶ月も掛かったという。

森本さんに見本を見せられ、この模様を作ってと依頼されたのが始まり。
何年掛かってもいいからチャレンジしてくれ、と頼まれたそう。
断っても「やってみな、やってみな!」と粘り強く言われたらしい。
こういうことは、漫画の現場でもたまにある。
編集者から漫画家へだったり、漫画家から作画アシスタントへだったり。
この人の本気が見たい!という気持ちの表れなんだろう、目に浮かぶ。

スレンさんは、見本があっても大変だよ!と思うも、
頭の中で図柄のバランスをずーっと考えていたという。
作っている時は楽しく、出来上がると嬉しかったそう。
自分だけにしか作れないということが、誇らしかったと言う。
それでも、布への情熱に関しては、森本さんに負けると言っていた。

大きい方のピダンのモデルが、
「カンボジアの染織」という福岡市美術館の図録に載っていた。
舟にイルカや水辺の昆虫などがいて、
アンコール遺跡や王宮にある石像に似ているし、
海が舞台ではないか?と話していた。
昨日見た時、モチーフの間に散りばめた小花だと思ったものは、
水の泡だったのかもしれない。
虎のピダンに居るウサギは、なんかネズミっぽいもの…との返答だった。
虎の模様も、作るまでは無理だと思ってたそうだ。
図録を眺めながら、これから挑戦したい柄はありますか?と尋ねたところ、
スレンさんは、この象の柄のピダンを指差していた。
スレンソガエット
ゼヒ、挑戦して頂きたいです!!!

今でもピダンを奉納するのか尋ねると、
昔に比べて豊かになったから、今のお寺はピダンを何枚も持っているので、別に…
とのこと。逆に、お寺を訪ねたら、ピダンを見れるということか?

一方スレンさんは、職人が給料の良い工場に流れる傾向にある、という話をする。
伝統的な織物を、子供の世代にも残したいとは思うけど、
20年後はどうなっているか分からない、若くて気持ちの軽い人はどうなんだろう?
…という長期的な懸念も、スレンさんは話してくれた。
伝統の森と違い、お客さんが多いシェムリアップだからこそ
肌で感じることなのかもしれない。

カンボジア全体の物価が上がり、人件費も増加している。
初日に峯村先生から聞いた話では、人件費の増加に伴い、
これから布の値段もどんどん上がっていくので、買うなら今のうち、と教えて貰った。
確かに、上がっていく人件費に対応するには、単価を上げざるを得ない。
けれど私だったら、IKTTの物語やコンセプトを知らされなかったら
店の品を見ても、価値が解らず値段におののいて、素通りしてしまった気がする。
そういう意味では、観光客に英語や日本語で説明出来る、現地の店員が
いつも居れば違うのでは…と失礼ながらも感想を伝えてみたら、
スレンさんが通訳のクマちゃんに、「うちどう?」とスカウトしてた。
クマちゃんは来年日本に行く予定だった…残念。

これは、森のスレイプイちゃんやニッちゃんが、勉強している日本語を活かすか、
ソッキアンさんの娘さんが、マーケティングをしっかり勉強していくことに期待だな!
でもソッキアンさんの娘さんは絵も上手かったから、職人としてもすごく期待出来るし…
なんて妄想してみるが、きっとその頃には
日本の反物くらい手の届かないお値段になっているだろう…
インタビューの最後はどうしても、お金の話になる。

11:20過ぎ…宿のチェックアウトがあるので、正午には戻らなければ!
取材はタイムアウト。ありがとうございました!
時間が無いのでショップは見れず…午後にまた出直すと決める。

チェックアウトの話をしたら、クマちゃんが
妹さんにバイクを持ってきてもらい、宿まで送ってくれるという!
妹さん待ちの間、下の工房を覗くと、昼食の準備をしていた。
IKTT作業場IKTTにゃにゃんこ
あとあと、かわいいニャンコも!

クマちゃんと妹さんに挟まれて、3人乗りヒャッホーゥ!
クマチャンバイク
信号も設置されて交通整備されてきたシェムリアップ。
実はヘルメットしなくちゃいけなかったらしい。
捕まらなくて良かった。

泊まったお部屋。
お値段的に納得でしたが、若くないのでもう個室が良いです。
ヤマト部屋

この後も日本まで長いので、一旦切ります。

20141129 Sat
ピダンと染色体験 

ピダンと染色体験 

IKTTを知ってから、記憶の引き出しがパカっと開き、
気になっていた物語がありました。
それは小学校の教科書に載っていたモノ。
けれど、物語のタイトルも教科書のタイトルも覚えてない…
覚えているのは、布を織る主人公のお婆さんが、
「目から血を流してその赤で太陽を織った」
ていうかなり強烈な描写のみ。
だがしかしそこはネット時代、検索すれば大抵のことはわかる世の中。
探しあてました!
新しい国語4下に載っていた、
チワンの錦 という物語です。

理想を求めてそれを実現させていく、衝動や執念みたいなものが、
森本さんが辿ってきた道と重なって、ロマンを感じます。
そんな気持ちを呼び起こさせた日でした。


10/11
いよいよ最後の日もやはり、朝のお散歩から。
昨日染めてた糸を発見!屋根のある所に移動させてあった。
糸干し
森本さんのお家の入り口
森本さんの家
今朝はアヤカさんもお散歩してた。
合流して、ボードウォークというスポットに連れて行ってもらう。
森の通路を歩いていくと…沼を横切る渡しがある。これのことか!
ボードヲークリリィ
犬のリリィも着いてくるけど、足が短くてつまずいてる。ドン臭くてカワイイ。
釣り日の出1011
沼の真ん中辺りで釣りをしてる2人組を発見!
餌はデッカい蛙。釣れる様子は無い…
でも朝日が沼に映り込んで、森や蓮を照らしてとてもステキだった!

朝食に再び森本さんの家へ。
早めに着くと、お絵描き組のみんなが賑やかにしてる。
お絵かき組
しばらくすると合図があり、みんなお掃除に行ってしまった。
すると道の落ち葉が片付けられて、みるみるうちにキレイになっていく。
伝統の森で掃除を根付かせる為の習慣のようだ。
解散
朝食の後は滞在費用をお支払い。
このお金はそのまますぐに、森の人達のお給料として支払われるらしい。
トールさんの昨日の話はコレか…なんと健全な明朗会計。
森本さんによると、ここでは税金の徴集がまだ無い…とのこと。
やっと戸籍を作り出したところだそう。

そして、昨日話をしていた、森本さんの古布コレクションを見せて貰う。
左側の棚に鍵を掛けてしまってあった。
古布の棚
見慣れているだろうアヤカさんも一緒に広げて、教えてくれる。
虫喰いだろうか?ところどころほつれているけれど、鮮やかな色は健在。
浴衣の帯のような絞り染めが、東南アジアにもあるのにビックリ!
古布1
正直どれを見れば良いのか分からない…

けれど、箱の奥に一際大きくて鮮やかな縁取りが施された布がある。
気になったので取り出してみる。
古布2
なんだろう面白い!木と蟹が交互に描かれているように見える。
これは森本さんにとっても思い出深い布の一つらしい。
馴染みの古美術商が、ある村の老人から買い取ったもので、
老人はそのお金を家族の治療費に充てるという。
その古美術商は一目見て、まずモリモトに欲しいか聞いてみよう
…と連絡を取ってきたそうだ。

鮮やかな縁取りは、タペストリーとして飾るためにつけられたもの。
私は布の知識はレベル0なので、恥ずかしながらこの時初めて、
ピダンという種類の布を認識する。
ピダンとは、寺院に奉納されるための絵絣の織物のこと。
後で確認したら、昔から持っている地球の歩き方にも、
森本さんの著書にも載っていた…。ずっとスルーしてたのか自分よ…

一方こちらは、上のピダンに比べても一際小さいホール(スカート用の絣)。
その分とても繊細に模様が織られている。
古布3
横糸にズレが無く、ドットがピシッと形を成している。
熟練の職人さんの仕事だろう。

すごいなぁすごいなぁ…
角度を変えると光沢が際立つ。
正直、写真では実物の魅力を捉えきれない!
古布4古布5
それでも、模様の細かいところがすこしでも分かるので、布の画像はどれもクリックして、
大きめの画像サイズで見てもらえると嬉しいです!

古布と共に、IKTTで作られた高品質な布は、
森本さんのコレクションに加えられる。

これは、森本さんの著書でも紹介されている、
ソッキアンさん(本ではソキエンさんと表記されてた)の色っぽいナーガ。
ソッキアンナーガ2
彼女が結婚を決めた時に括った布だそう。
確かに、色合いがものすごく上品で、惹きつけられる。
ソッキアンナーガaソッキアンナーガ3
ソッキアンさんのナーガを堪能していると、秘蔵の一枚を紹介してくれた。

きっとIKTT最高峰の一枚だろう。
なんとも細かい模様で大きいピダン。
すごい…
IKTTピダン2
すごい…ずーっと見ていても飽きない。
IKTTピダン
舟・生命の樹・蜘蛛・蟹・ナーガ・鳳凰・鹿・鳥が何種か・魚が何種か…
それらが生き生きと息づいて、更に間に小花が散りばめられている。
もう、この絵の中の世界に吸い込まれそうになる。
IKTTピダン3
こんな素晴らしいモノに、直に触れてもいいのかな?手垢とか平気?
…というかこれは、伝統の森に来たら必見!
可能なら、ガラス越しでいいから常設展示して欲しい!
仕舞われてるなんて勿体無い!!!
稲妻を受けたような、興奮状態におちいる。
一目惚れ、とも言える。
最終日まであなたの存在を知らなかったなんて…
いやもうホントに、知らないまま帰らなくて良かった!

またまた秘蔵の一枚が出てくる。
これの対になるピダンを、カンボジア国王に献上したという、
IKTTと伝統の森を誇る一枚!
虎ピダン
虎の縞模様を再現してしまうなんて…
中心にあるのは生命の樹で、寺院の中には、仏様か、王様か…?
半人半鳥のモチーフも、エキゾチックで面白い。
虎ピダン2
虎の後ろ脚の下に居るのはウサギかな?
…と言ってみたら、アヤカさんが
「スレンさんなら、ウサギくらい出来ちゃうかもね」
と話している。スレンさん?森に居ない人だろうか?

なんとこの2枚のピダンは、シェムリアップの工房で仕事をしている、
デザイナーのスレンさんと、織り手のソガエットさんのコンビの仕事らしい。
恐らく、昨日ライさんが話していたIKTT一番の職人さんだろう。
森本さんの話によると、ソガエットさんは凄腕の職人の娘だそう。
これはやはり、シェムリアップでもインタビューをせねば!
明日の午前中に会って貰えるよう、森本さんにお願いする。

虎さんを楽しんでいると、これまたオススメの一枚を紹介される。
銀糸2
銀糸で出来たパイナップルの織物だ。
森本さんがボッパー・デヴィ王女にこの布を見せた時、
「お祖父ちゃん、この色違い持ってた!」
と言われた一品だそう。
銀糸1
正に、身分の高い人が身につける為の布なんだろう。

何日か前に、森本さんは自身のことを織物職人達の
パトロンのような存在だと言っていたが、
それはあくまでクメール絣に関してなのだろう。

ご自身の本職でもある、ろうけつ染めの作品も見せて頂く。
光のような鮮やかな黄色!
ろうけつ1
染料と、一部の布は伝統の森の産物。
和とカンボジアのコラボレーションだ。
因みに、IKTT2015年版カレンダーのモチーフは、
森本さんのろうけつ染めシリーズだそう。
ろうけつ2
この布の色合いがとても好み。
黄色と緑が淡く混ざり合ってキレイ!
ろうけつ3
ろうけつ染めを身に纏う。
毎年3月に行われる蚕祭りでは、ファッションショーも開催されるが、
恐らくその時と同じ布の纏い方をしている。
ろうけつ衣装
芸術品級の布を眺めながら、森本さんとアヤカさんと3人で、お抹茶とお菓子を嗜む…
なんて優雅な土曜のブランチ…


さて、毎週水・土曜は、森の買い出しの日だそうで、
シェムリアップから車で食材が届く。
買い出し
冷蔵庫用の氷は、こうして運ばれてるのか…
お疲れ様です!
買い出し氷
一方ショップの前では、行商のバイクがやってきて、
お米を潰したような穀類を森の人達に販売している。
行商はたまに訪れるらしい。
行商
お昼まで時間があるので、写真の取り残しを補完しにお散歩へ。

トゥクトゥク型のトラック。
以前は韓国車のトラックがあったが、洪水で壊れてしまったらしいので、
今ではトゥクトゥクが主力となっているそう。(トールさん談)
トゥクトゥクトラック
朝のボードウォークが気に入ったので、再び行ってみる。
渡しの向こうから談笑と煙が見える。行ってみたかったけど、
足場が沼でヒタヒタになっていて断念。
草の上を歩けば、足を取られなかったと後で教えてもらう。
ボードヲークボードヲーク2
沼のあちこちで蓮が咲いている。
こちらの人達は蓮根食べないのかな?と思う。
ハス
森本さんの家の台所では、女性たちがお喋り中。
台所。台所で
私達の食事は、たぶん彼女が中心になって作っている。
毎晩食事を共にした時、私達の味のリアクションを覗き込んだり、
ご飯が無くなると、おかわりどう?と身振りで促してくれてた。
台所で2


本日から滞在する、5人のお客さんを待って昼食。
今までは小さめのテーブルでとっていた昼食だが、
人数が多いので、お絵描き組のテーブルで頂くことに。

その5人は、日本各地の社会保険労務士のお仲間さんで、
勉強会も兼ねて、今までも何回か旅行を共にしているらしい。
日本の職場と生活の環境を考えるために、
子育てと女性の自立を両立させている、伝統の森の生活を見学しに来たのだそうだ。

社労士さんとお話するなんて初めてだった。
今までIKTT関連で会った人は、布か、カンボジア好きな人達がほとんどだったが、
色々なアプローチがあるんだなと感心する。
すると先方も、漫画家なんて初めて会ったと言う。
そうですよね…お互い様でした。
しかし、これからの滞在なんて羨ましい…
つい思わず、伝統の森の見所を、はしゃいで話してしまった。


甘ーいマンゴーで人心地ついてから、森本さん宅1階で染色体験開始。

真っ白なシルクのスカーフに、ビニール紐で思い思いに括って模様を作り、
始めに黄色い染料で、その後括り直して鉄媒染、
最終的には白と黄色と緑の3色模様になるもよう。
出来上がりをイメージして括るのも、ヒラヒラしたハンカチに
力を入れて縛りきるのも、中々難しい。
峯村先生が指導と通訳を、IKTTのスタッフがサポートを務めてくれた。
この体験の為に、シェムリアップからわざわざ来てくれている!
サポート…というより、コツが分かっているので、ほとんどお願いして
やってもらったという感じだった。大人数で賑やかなひと時。
手際良くグリグリ縛られた布を…
染色体験1
染めの工房で、発色のキレイな黄色に染める!
プロフーという木の皮を煮出した染料。日本語ではフクギ
みんなで順番に鍋の中を混ぜる。

人数が多いので、ビニール紐に尻尾を付けて油性ペンで名前を書くも、
染料でグツグツ混ぜるので、消えかける…
水ですすいだら、残っている名前や括り方を見て、自分のハンカチを判別する。
染色体験3
黄色に残したいところを更に括る。
染色体験2
その後、昨日見学した鉄媒染で濃い色にしていく。
相変わらず強烈な匂い…
媒染液は、カメに錆びた鉄とライムを混ぜて酸化を促し、
更に砂糖を入れ、太陽の熱で32度を保って発酵させる。
濁ってはいるものの、透明感が残っているこの液体に布を浸すと、
濃い色に染まっていくのが不思議だ。化学変化を起こしているのだろうか?

堆肥のような匂いの布を、シャンプーで洗い流す。
染色体験4
石鹸の良い香り。ビニール紐を解くのがすごく楽しみ!
けれどギチギチに縛ってあるので、ハサミを入れる時の緊張感がハンパない!
布は切らないようにして…完成!!!
一連の作業も楽しかったし、出来上がりのデザインが最後まで予想出来ないので、
紐を解いて布を開く時のワクワク感が、すっごく面白かった!
自分のだけでなく、皆さんの出来上がりにもワクワクした!
大事にしよう。バックパックに詰め込む。


あー…日が傾いてくる。
しょうがない、楽しい時間には終わりがある。
荷物はまとめたし、写真も大分撮ったし、森本さんに出発の挨拶をする。
沢山の貴重なお話とおもてなし、本当にありがとうございました。
今後も、体調の良い状態が長く続いて、
できる限りしたいことが出来るようお祈りするばかり。
11月には行商の一時帰国をするとのこと、その時またお会いしましょうと、
アヤカさんとは来週京都で会いましょうと約束する。
社労士さん達ともFacebookで繋がった。

峯村先生は、週末はいつもシェムリアップで日本語教師の仕事があるので、
来た時同様、一緒に移動する。
森さらば
来る前まではどうなることかと思ったけど、
慣れて楽しめるようになった今は、帰るのが惜しい気持ちでいっぱい。
こんな溢れんばかりの自然を、次に体感出来る日は訪れるのだろうか?
流れる蓮や木々の景色に、感傷的になる…

と思ったら峯村先生、着替え忘れでUターン。

再びゲストハウスの前まで戻る。
感傷的な気持ちはどこへやら…

伝統の森入り口の、建設中の家は骨組みと屋根が出来上がったもよう。
古い家の解体を始めていた。
解体中
さあ、本当にいよいよ森とはお別れです。
バイバイ!
バイバイ

道中では峯村先生とお喋り。
峯村先生は来年帰国後は、長野で生活する予定らしい。
私の父の実家も長野で、年に数回は帰っているので、
次は日本で会いましょうとお話する。

森に向かう時は緊張してたのか、道路の景色を改めて眺める。
シェムリアップからバンテアイスレイに通じる道路は、
始めてカンボジアに来た14年前にも通って、その時は赤土で道と緑しかなかったはず…
今やコンクリート舗装は進み、人も家も車も増えた。
レンタバイクやレンタサイクルで移動する観光客もチラホラ。
遺跡も見えた!来る時は気付かなかった!
遺跡見えた!
峯村先生によると、プレループ
遺跡の間には家もショップも増えて、大型の観光バスもいっぱいすれ違う。
なんだろう…将来的には、世界遺産の周りを住宅やビルがひしめく、
京都のような街並みになっていくんだろうか?
伝統の森からだと、すごく都会に見えるぞ!
シェムリアップに到着。

前々日あたりから、東京で一度お会いした、
シェムリアップ、クロマーヤマトGHのオーナー、西村清志郎さんと連絡を取り合い、
予約もさせて貰ったので、宿の前で降ろしてもらう。
どうせもう寝るだけだし…と宿代ケチってしまった。
女性ドミトリー部屋、一泊なんと3$!わお!伝統の森の十分の一!
峯村先生とは、ここでお別れする。6日間、大変お世話になりました!


さて、クロマーヤマトGHはいわゆる日本人宿の一つ。
部屋に案内されると、同室の人は今は不在。
私も明日が旅の最終日なので、シャワーを浴びて最後の洗濯
…をしてたら同室の、元から泊まっている人と新規のお客さんが現れる。
当然日本人女性。皆様、長期旅行者のようで、ラオス行きの話とかしてる。
いいなーラオスも行ってみたいなー。

事前に西村さんと、
「ちらっと飲みますか」
とメッセージを頂いてたので、夕飯にクロマーヤマトのレストランで合流。
森で貰った、カティン祭りのちまき(中身は豚肉)も持ってたので、
温めて出して貰う。食料持ち込み禁止でしたね、ゴメンなさい…

一緒に飲むのは西村さんだけかと思いきや、
タレントになれそうなくらい可愛い日本人女性も同席…なんと嫁と紹介される!

もう一人、通り掛かって西村夫妻と挨拶してる、旅工房の佐藤さんも一緒に食卓を囲むことに。
森では一切出なかった、アルコールが久々で美味しい!
クロマーヤマトは、日本人の往来が激しそう。
別のGHの日本人オーナーも通り掛かって、
オフシーズンで客が少ない…的なことを西村さんと話してる。
そっか!今私、観光業の人達に囲まれてるんだ…と、この時気付く。

カンボジアに移住して働く人達は、大分増えて来ているらしい。
それもどちらかというと、
アンコール遺跡のあるここシェムリアップより、
プノンペンの注目度が年々上がり、
観光客に向けた特集も逆転し始めているという。

とはいえ2~3年前に、日本人観光客の、
向井理フィーバーのカンボジアブームがあってからは小康状態のよう。
日本人よりも韓国や中国からの観光客に勢いがあるらしい。
どうすれば客を呼べるか、カンボジアの新しい楽しみ方を、
この人達はいつも考えているということか。
少し前まではスタディツアーが盛んだったけれど、
最近では企業の研修で若い人達にカンボジアを見せる…
というのも増えているそうだ。

あと、カンボジアの日本人会、というのもあるらしい。
私も前回の旅で、色んなNGOのコーディネートに同行したけど、
カンボジアの支援という同じ目的を持っている人達なのに、
横の繋がりが希薄…と感じていたので、当時なんで無いんだろう?と思っていた。
情報交換だけでもメリットはありそうなのに。

けれど実際には、目的が同じようでそれぞれ微妙な差異があり、
小さい意見の食い違いが発生することも、しばしばだとか。
とはいえ、新規でカンボジアに入って来る人には、
人脈を作りやすい場だと西村さんは言っていた。

話はマンガの話題に移る。
西村さんは私にこう言った。

「今まで出してるマンガは無いんですか?
あったらクメール語版出版しますよ」

マ……マジですか…?
でも、単行本出てるインテリア漫画は、カンボジアの人には届かなそうだよな…

西村さんは、もともとKromaという日本人向けの
カンボジア情報誌の編集部に所属していて、
今では独立して「くろまる」という情報ペーパーや、
クレヨンしんちゃん・ドラえもんのクメール語版も出版している、
編集者さんでもある。

私もカンボジアを舞台にした漫画で単行本が出せれば…と願ってるけど、
海外モノって今の読者の興味とは遠いみたいで、反響が少なくて企画が通しずらい…
と弱気に西村さんに話す。

「でもテルマエ・ロマエとか、すごいウケたでしょ?」

…確かに。でも作者のヤマザキマリさんは
10代からイタリアで旦那もイタリア人だし
イタリアの酸いも甘いも噛み潰したから
ああいうのが描けるんじゃないだろか?

「じゃ、カンボジアに住んじゃえばいいじゃないですか」
と…西村さん。

…そういえば、森で来年春に帰国する峯村先生の
後任を探しているって言ってたな………

………いやいやいやいや!

一瞬アリかも…と思う浮ついた心を静める。
今決まった仕事が無い身分とはいえ、
クメール語はおろか英語だって出来ないんだから
使い物にならないでしょう…
それにまずは、今回の旅を漫画にして金にしなければ!

お酒が久し振りだったし、都会に戻ってきたなーと実感が湧く夕食でした。
西村夫妻、ありがとうございました!

クロマーヤマト受付そばのハンモックから、
寝ている子供を抱き上げる西村さん。
現地の子かな?と思い込んでたけど、
なんと西村夫妻のお子様だそう!
ヤマト夜
すごいなぁ…シェムリアップ出身の日本人だ。

部屋に戻り寝る準備。同室の人にカンボジアのオススメを尋ねられる。
戻ってきたばかりだったので、IKTTと伝統の森を勧めてみたが、
滞在費を聞かれたので答えたら、高い!と驚かれた。
ドミトリー泊の長期旅行者だと、そういう反応になるよね…
もっと上手く勧められたら良かったのにな。

明日の夜にはここを立つので、この日は梱包が大変でした。
明日も明日で、ハードスケジュールなんだ…
ガンバル!

20141126 Wed
最後の平日 

最後の平日 

10/10
今日も朝のお散歩から!
自転車で集まってくる職人さんたち。
朝1
通いの人達は、ビニールにお弁当を入れて持って来ている。
朝2
開店前の森のショップも覗く。
ショップ朝
この棚のなかには、お絵描き組の描いた絵が詰まっている。
ショップの棚ショップ朝3
染めの材料がいろいろ、
織の道具もいたるところに展示されてる。
ショップ朝2
お絵描き組が始まる前のひととき。
みんな仲良さそう。
森本宅1F
お掃除中。タイガーは番犬中。
掃除中
リリーはご飯中。
リリーゴハン
朝食を済ませて、インタビューの準備。
昨日、森の人達と話して感じたのは、
こちらが知りたい情報を、引き出せる質問が出来てない…ことだ。
森本さんは取材関係に慣れてらっしゃるし、こちらが知りたいことを
日本人同士の勘で、察して言葉にしてくれる。
私としては、森の人達がどういう気持ちを経て、IKTTに携わるようになったのか、
その人のルーツを少しでも知りたいと思うけれど、
ポルポトと内戦の時代に触れてしまうのはタブーな気がしてしまう…
そんなことをぼんやり悩んでたら、クマちゃんが友達のバイクに乗せられてやって来た。

到着早々、その疑問をクマちゃんにぶつけてみると、
「その時代のこと、聞いても大丈夫」という答え。
流れで、クマちゃんのご家族はどうだったかも尋ねてみると、
なんとお祖母さんが今でも元気で、昔の話を色々聞いたという。

そのお祖母さんは、村長の娘で身分が高く、夫であるお祖父さんは字が書けるので
ポルポト時代に殺されてしまったという。
元々住んでいたシェムリアップから、チェクレンという遠い田舎まで散々歩かされ、
10歳になる子は田んぼの仕事をさせられる。
支給されていたお米がおかゆにになり、
食べ物が無くなって、川べりに自生している空芯菜を取って食べた。
家族が引き離された時、牛車の音を辿ったら戻っていけた、
道案内をしてくれた良いおばけの話や、怪談などをしてくれた。

またクマちゃんのお父さんは、
「ポルポトから解放してくれたフンセン首相に、一生感謝したい気持ち」
と話しているという。

村長の娘さんの孫なのか…クマちゃんの聡明さなど、色々に納得。
とはいえ、クマちゃんは5人兄弟の長女で、家族は貧乏と戦って大変だったそうだ。

更に兄弟の話も聞く。2番目の弟は中国語、3番目の弟は英語が出来てシルクファームに所属、
4番目の妹は高校生、1番下の弟とは19歳も年が離れているそう!
それにしても、さすが観光都市生まれ、語学をそれぞれ活かせている兄弟って
どんな会話をしてるんだろう?面白そうだ。


少々時間を取ってしまったが、
この日は、村長でスレイプイちゃん父、トールさんから通訳をお願いする。
いつもスレイプイちゃんが授業をしてる場所で、お話を聞く。

トールさんは、カンポット出身の39歳。
昨日話を聞いたウーさんとは、郷里でもご近所さん。
森本さんの話では、英語が堪能で、大臣にもキチンと説明できるほど、
IKTTのことをよく分かっている人だそう。
けれども、学校は中学2年までしか通っていなかったそうだ。
なぜならその頃、母親が地雷を踏んで入院し、
兄弟の世話をしなければならなくなってしまったからだ。

森本さんと出会ったのは17歳の頃。
織物の相談に村長(郡長?)達と話し合って、蚕を運んで来てくれたという。
詳しくはこちらを参照に

カンボジア絹絣の世界―アンコールの森によみがえる村 (NHKブックス)カンボジア絹絣の世界―アンコールの森によみがえる村 (NHKブックス)
(2008/01)
森本 喜久男

商品詳細を見る

そのカンポットの村でも、トールさんが10歳くらいの頃までは蚕が居て育てていたが、
数が少なくなってしまい、布に仕立ててもお金にならなかったところ、
森本さんが仕事を持って来てくれたのだそう。
その養蚕仕事のお陰で道も橋も良くなり、蚕用の道具も支援してくれた。

96年にプノンペンで、カンボジアの文化芸術大臣もされていたボッパー・デヴィ王女に
布を披露出来るお祭りがあり、カンポットやタケオの人達も呼ばれたそうだ。

トールさんはその時初めて、自分が育てた蚕が布になった姿を見て、すごく感動したと言う。

2001年には森本さんが購入した土地と、アンコール遺跡を見に来るツアーに参加し、
森が拓かれる2002年にカンポットの29人と連れ立ってこちらにやって来た。
最初の3ヶ月間は森本さんが衣食住の費用を負担してくれた。
始めは一部屋7~8人男ばかりで雑魚寝出来るスペースが4つ、
一家族ごとに家を建て増していった。
土地を耕し、野菜を作りながら、
2004年に森本さんの家とショップが出来、
2005年に織物をするタケオの人達が移住、
2006年にはゲストハウスが出来、電気も通るようになる。
それまで電気は車のバッテリーで賄っていた。
土地を開墾するのは大変だけど、目的があるから頑張れたのだそう。

若い頃の将来の夢はビジネスマンで、お金持ちになりたかった。
今は森本さんのアシストで自分のビジネスではないけど、
森本さんを助けることはみんなを助けることになるし、
伝統的な織物を繋いでくれたことが嬉しいのだそうだ。

村長に選ばれたのは森本さんから任命されたから。
なぜ選ばれたのか分からないとトールさんは話すが、
ここまで話してみて、これほどの適任は他に居ないだろうと、私でも分かった。
仕事に誇りを持っているし視野も広い。
シャイな他の人達と比べても饒舌で、1つ尋ねると5つくらい察して答えてくれる。

今では、長女で中学生のスライプイちゃんと、
森でパム(裾柄の無地)を織っている奥さんのピアップさん、
近隣のピアックスナイ小学校で教師をしている妹さんと暮らしている。

地雷を踏んでしまったお母さんは、カンポットで他の家族と暮らしている。
肺に破片が入った後遺症で、月に1度の注射を受けないといけないそうだ。
先日プリアヴィヘアに行ったのは、奥さんの妹の新築祝い。
トールさんも奥さんも、それぞれ8人兄弟だそう!多い!!

長男は高校生で、アンコールトム村にある、
アンコールトム高校の寮で暮らしながら、土日は英語を勉強している。
どうやらクマちゃんの妹さんも、同じ学校に通っているみたい。
離れて暮らしている長男が心配で、毎晩ケータイに電話をするが、
いつもお金が無いから送ってくれと言われるらしい。
うーん…どこの国でも同じですね。

トールさんの趣味は魚取り。
仕事の大変な所も聞いてみた。接客とかどうなんだろう?
すると、お客さんの居る時の大変さはマシだけど、
居ないとお金が入らないから大変!!…と言っていた。
森の人達同士でも、お金の話はよくするらしい。
…どこの国でも同じですね!!!

モリモリ話していたらあっさりお昼になる。
トールさんありがとう!

お昼は森本さんの家で、まさかの素麺。
こんな所で食べられるとは…クマちゃんとお友達も美味しいと言っていた。

午後からは、噂の出戻りスタッフの話を聞こうと、
名前と場所を教えてもらい織り機の所まで行ってみるも……無人。
昼休みから戻ってないのかな?と思って近くのスタッフに尋ねると、

今日は来ていない………という。

私達の噂を聞いてたんじゃなかろうか!?なんとまあ、タイミングが悪かった。

そんなこんなで立ち往生していると、染め作業に人が集まっている。
瓶と鍋鉄焙煎1
どうやらこの薄茶色の糸から染めるらしい。
鉄焙煎2
すると、森本さんの娘のアヤカさんも、通り掛かって合流。
染料はアーモンドの葉で、鉄媒染をするのでは?と教えてくれた。
森の人達とアヤカさんは顔見知りの様子。

アヤカさんは伝統の森を、遠くて来るのが少し面倒臭い実家のよう…と話していた。
ここ最近は、仕事の休みが安定しているのと、
森本さんの体調もあり、まめに訪れているらしい。

媒染液は発酵して、なんというか堆肥のような匂い!
鉄媒染3
その傍ら、ソッキアンさんは先日の紅い糸を洗っている。
シャンプーの良い香りが漂う。
洗わないと染料のせいで糸が切れやすくなるらしい。
ラック絞り
こちらは、せーので時間を計りながらジャブジャブ漬ける。
鉄媒染2
馬のウ○コの色になって欲しくない!
…と言ってたので、黒くなるまで何回かジャブジャブ。
鉄媒染4
どうやら希望の色になった模様。
始めの状態よりも黒々と艶がある。
鉄媒染5
ドサクサに紛れて、染めの指導をしてたおばあさんに話を聞かせてもらう。

彼女はライさん。昨日インタビューしたソッキアンさんのお母さんで、
3年前にタケオ州からこの森にやってきた。

4人兄弟だったがポルポトの時代に2人は行方不明に、
残る弟と、娘が今もタケオ州で暮らしている。
孫はソッキアンさんの娘4人も入れて10人居る!
多い!まだ50代なのに!

旦那さんはポルポト正規軍の人で、強制的に結婚させられたけど、
ライさんが23歳の時に帰らぬ人に。
以来女手一つで娘3人を育てた苦労人。
ライさんのお母さんの時代は伝統的な織物を作っていたけれど、
手間が掛かり過ぎてお金にならない為、
ライさんが若い頃は、科学染料とベトナム製の絹糸を市場で仕入れて布を織り、
田んぼも耕しながら生計を立てていた。縫製工場で働いていたこともあったそう。
ライさん
今この森では、染め上がった糸を
カナールという、横糸の棒に紡いで巻き取る作業をしながら、
工房全体の進行を見つつ、後進の指導にもあたっている。
絣のホールは難しい為、昔は織っていたけど、今は目が衰えてしまい出来ないらしい。
この紡いでいるのは、3色染めの絣で、カナール大体25本分の模様だそう。
これを織ると模様がピシっと決まっていくのか…
ライさん糸車ライさん糸車2
ライさんが若い頃は、母親が布を織って生きてきたから、
自分も織って生きていくんだろうなぁと思ってたという。
苦労されたからだろうが、お孫さんには一生懸命勉強して、
違う仕事について欲しいと思っているそう。
ソッキアンさんと考えが同じなようだ。
けれど丁度居合わせた2番目のお孫さんは、お母さんやお祖母ちゃんのように、
糸を紡いだり布を織ったりしたいと言っていた。
どちらの希望が通ることになるのか…?

ライさんから見て、ソッキアンさんの腕前は?と尋ねたところ、
自分よりも遥かにいい腕前、との評価。
1番上手なのか?と尋ねると、そうではないらしい。
シェムリアップのショップに、もっとキャリアの長い職人さんが居るのだそうだ。
あとやはり、給料の話をしていた。
……どこの国も同じですね……

16時を迎える、タイムアップ。
シェムリアップの職人さんが気になるので、
後日もお願いするかもとクマちゃんに伝え、別れる。
みっちり2日間ありがとう!

明日は土曜日。この日の見学で仕事は見納め。
インタビューにかなり時間を取ってもらい、
すごくお邪魔をしてしまった思いはあるけれど、
嫌な顔一つせず、皆さん丁寧にお話して下さった。
ありがとうございます…感謝の言葉が足りません!

けれど全ての行程を見学出来た訳ではない。
紡いだ黄色い糸を洗って白くするところ、織り機に縦糸を仕込むところ、
織りあがって織り機から外す所などは、見ることが出来なかった。
しかしこればっかりは、作業工程に合わせて滞在するのも難しいし、
その時のご縁とタイミングとしか、言えないのかもしれない。
けれどこの5日間で、繭を紡ぐ所から括り・染め・織りまで具体的に流れを掴めたし、
何より、ゆったりとした時間の中で女性達が協力しながら織物を作っていく、
カンボジア工芸の営みに触れられたのがとても良かった。

その後、最後のお湯浴びと洗濯を済ませて、
やっぱり最後のスライプイちゃんの授業の見学。

4回目にして、語学難しいよね…だけでは済まされない問題が見えてくる。
外人さん向けの日本語検定試験に合わせたテキストで
勉強しているスライプイちゃんだが、
例文に出てくる単語の意味を、多分理解出来ていない。
体育館も図書館もここには無い。
サウジアラビアが石油を沢山輸出してる国、というのは
ほぼ一般常識だと思うけど、(そういう例文が出ました)
森の中学生にはその情報が入ってこないのかもしれないし、
想像するにも限界がありそうだ。
峯村先生曰く、本を読む習慣も、そもそも本自体もあまり無いようだ。
前回の旅で、カンボジアで1番大きいけど、大きくなかった書店に行ったのを思い出す。

これはスライプイちゃんだけの問題では無いようで、
森本さんも、一般教養は本当に大事だとボヤいていた。
電気の直流と交流、電圧などを学校に行ってないと学ばない。
(学校でも教えてるかどうかは分かりません)
そんな人が機械を扱うので、しょっちゅう故障を起こすよう…

でもスライプイちゃんは、毎日遠くの中学校やこのゲストハウスに通うのに、
バイクの運転はスイスイ出来る。
日本人の常識とはそもそも違う。

ともあれ、自分が日本で何気無く享受した義務教育時代が、
すごく恵まれた環境だったんだなぁと、改めて思い知らされる。

最後の夕飯。相変わらずの大人数。鳥から揚げと納豆とオムレツと
ゴーヤスープ。苦くて美味しい。
ワンニャン
後片付けかニャ?この右奥がキッチン。

食後は森本さんとアヤカさんとお話。
森の人達へとインタビューをうけて、
森本さんは、カンボジアの村々の織物を調査してた頃の写真を見せてくれた。
調査フォト
今回のインタビューは、私が何を聞きたいのか分からないせいもあって、
手こずったし手間取った気がする…
(でもクマちゃんは質問上手いって褒めてくれてた、嬉しい!)

森本さんはカンボジアを調査することになる前、
タイでガイドをしていた頃、民俗学の先生の調査を案内してまわった時期があり、
そのノウハウをご自分の調査で活用したという。経験に無駄は無い…!
その時の調査票。見返し易いし比較もし易い。
私もこうすれば良かった…後の祭り。
調査票

森の滞在が、明日の日中を残すのみとなったが、
明日午後からは5人の団体客が来て、染織体験を行うという。
それって、今日見た作業を体験させてもらえるってこと?
森本さんにも勧められたので申し込んでみる。
アヤカさんも未経験と言うので一緒にやることに。
あと、秘蔵の古布も見せてくれると言う!
掘れば掘るほど見所があるぞ!伝統の森…
もっと滞在が長かったら、他になにが見れたんだろう?

お話を終えた後、写真の取り忘れに気づく。
シェムリアップお絵描き組の猫の絵。カワイイ。
猫の絵
朝と昼に食事をするテーブル。
華僑の先祖が多いタケオ州の家具だそう。
ダイニング

アヤカさんとゲストハウスへ帰る時、
星空がキレイと教えてもらい少しお散歩。
十六夜の直後で月がすごく明るかったので、
星は見えずらかったけど、なんと蛍を確認!
自生してる蛍なんて、初めて見たかもしれない!

思わず寝る前に興奮してしまったけど、
横になって電気が消えたらバタンキューでした。

20141122 Sat
通訳のクマちゃん 

通訳のクマちゃん 

10/9
停電で早く寝たはずなのに、
早起きも散歩もせずにベットでゴロゴロ
昨日借りた漫画を読む。

バイクと男のプライドと美女との3角関係、
劇画全盛の頃のハードボイルドな内容だ。
最近主流の、飄々とした主人公に
カワイイ系のヒロインと日常生活的な作品とは真逆。
(思いきり独断と偏見が入ってます)
どちらが良い悪いという問題ではないけど、
読者の求めている物の変化の振り幅が凄まじく、
日本を離れて30年超えの森本さんのような人が、
今まともに楽しめる漫画はあるのだろうか?とふと思う。


時間が来たので朝食へ。
峯村先生に、今日来る通訳さんに
「してもらいたい質問を考えて来ましたか?」
と問われるも…なにも考えてなかった!
だって漫画読んでたし。
急いでなにを聞くか考えてると、
約束の9時前にバイクで通訳さん到着。

通称クマちゃん…いかつい名前に反して、
なんと可愛らしい女性で、
今日は時間が空いてるお父さんに連れてきて貰っていた。

話してみると淀みない流暢な日本語。
シェムリアップ在住で学生時代から日本語を勉強し、
恐らく日本の外国人雇用対策の制度を利用し、
介護の資格を取るべく栃木に留学していたという。
現在は年明けに名古屋へ再留学の返事を待ちつつ、
シェムリアップでガイドとして旅行会社で働くも、
シーズンオフの今は通訳などの副業も積極的にしているという。

急なお願いにも関わらず、お互い都合が良くて助かる。
森本さんと峯村先生に事前に、
インタビューすると良いだろう人を教えてもらい
作業中だがお邪魔させてもらう。


トップバッターは昨日も会ったデザイナー
ソッキアンさん。これは昨日の写真。
ソッキアン昨日
失礼ながら年齢も聞く…私とクマちゃんの間。
その際、干支で生まれ年を伝えられる所がアジアですね。
けれどカンボジアの十二支は、羊が山羊に、猪がブタになってる。
羊や猪は寒い所にしか居ないのだろうか?

ソッキアンさん、この若さで子供4人居て
森1番の仕事人で、その腕を買われて持ち家まで建てている…
カッコ良過ぎではないか…!

彼女は元々プノンペンの南、
絹絣で有名なタケオ州出身。
それぞれ2つ違いのお姉さんと妹が居て、
今もタケオ州で織物をしている。

幼い頃からお祖母さんやお母さんが織物をしていて、
姉妹みんな、13歳の年から糸車を回し織物の勉強を始め、
16歳には模様も作り始めた。
お婆さんは厳しく、学校から帰ったら
ずっとお手伝い…当時はやりたくなかったそう。
とは言え、才能があったのだろうか。
小さい模様しか作れなかったお祖母さんよりも、
大きくて複雑な模様を、18歳の時には織っていたらしい。
タケオの村では、ベトナム産の糸を使い
カンボジアの人達が普段使いする
ホール(絣)・パム(無地)・スン(木綿で裾に模様)
を、市場に卸していた。
その後、村の人達と共に
プノンペンの縫製工場で働いていた頃に、
森本さんと出会ったという。

一模様でどれくらいの時間が掛かるか尋ねると、
14cm位の小さいタイプなら一週間で括っていたが、
今では子供の面倒を見ながらなので倍近く、
19cm位で3週間も掛かると言う。
ここで手掛けているデザインは、
今まで見た布のナーガ(竜)やアプサラ(天女)などを参考に、
足したり引いたりして自分で考えたオリジナル。
店に依頼されている伝統的な模様が主だが、機会があれば、
今風に模様をアレンジしてみたいと言っていた。

気付くともう11時を超える!
娘さんが奥で昼食の準備を始めていた。
奥のピンクの子は、お絵描き組で森本さんが
1番上手と褒めていた子。絵心は遺伝するんだろう。
ソッキアン家
そういえば、なぜ小学校は休みなのか聞いてみた。
なんと、雨季明けのカティン祭で、
昨日のチマキは寺のお坊さんにあげる物だったそう。

ソッキアンさんとしては、娘を大学に行かせ、
マーケティングを学んで欲しい!という。
その学費を確保するために
仕事をするのが楽しいと言っていた。
偉い。とてつもなくしっかりしている。

クマちゃんはソッキアンさんのスタイルの良さを
「子供4人も産んだと思えないですね…」と褒めていた。
スレている素の感想が面白い。
シェムリアップの人と森の人では価値観がかなり違うのかもしれない。
クマちゃんは都会っ子のせいなのか、
日本の女友達と話してるのと同じ感じがする。

クマちゃん曰く、シェムリアップは田舎なので、
ショッピングはバスでプノンペンまで行くらしい。
カンボジア進出を果たしたAEONにも行ったそうだ。
日本の吉野家の牛丼の味が忘れられないけど、
カンボジアの吉野家は値段が高い。
でも我慢出来なくなったらいつか入る…
と言っていた。

ああ…昨日ここの夕飯で、美味しい牛皿出たのに…
食べさせてあげたかったなぁと思いつつ、
お昼はクマちゃんとクマちゃん父も交えて
焼きそばとマンゴー。

それにしても、1人聞くのに半日も掛かるのか…
通訳を介したコミュニケーションは
質問を→訳して貰い→返答を→訳して貰い
→メモを取って→次の質問…
そりゃあ時間が掛かって当たり前。
そうは言っても、聞きたいことがダイレクトに聞けるのは貴重だ。
出来るだけ良い情報を引き出さなくては!

午後からは、蚕組のリーダーという人を教えて貰う。

…ニッちゃんの親戚のおばあさんではないですか!?
ウーさん
彼女はウーさん。蚕を育て糸を紡ぐ、
カンポット州から来た集団の1人だ。
そういえばニッちゃんのお母さんもカンポットに居ると言っていた!
改めて、ニッちゃんとの関係を尋ねると、

叔母さんの叔母さん…であるらしい。

あーー…そんな関係、
通訳さんが居なかったら分かる訳がない!
知りたい事の痒い所に手が届く。素晴らしい…!

ウーさんが森本さんと出会ったのは、20年以上前のこと。
カンポットではお米を作りながら、
お姉さんが飼っていた蚕に桑をあげる仕事をしていて、
ホール(絣)は出来ないけど、クロマー(チェックの布)は織れたそうだ。

森本さんがこの伝統の森を立ち上げた時に
カンポットの村から18人、
森のメンバーとして連れて来たのが2002年前の2月。
その後遅れて3期目のメンバーとして、
11年前からこの森で暮らしている。
森に来て3日目で、蚕仕事全体をまとめる役割を与えられた。
なぜなら当時の人としては珍しく、読み書きが出来たからだ。

ウーさんの親は教師(森本さんに聞いた)で、
ポルポト政権以前には学校に通っていた。
その後1979年にポルポト政権から解放され、
学校が復活すると、小学校に通い直し
18歳で卒業出来たという。
波乱の時代を生き抜いた1人だ。

…と、大分聞けた所で、ウーさん、
仕事で呼ばれてタイムアップ。
蚕を育てている人の場所と名前を聞き、別れる。
↓近くの村出身のツラウトンさんは、
2009年からこの森に通っている。
ウーさん隣
布を織る人数か8~9人だったのに比べて、
糸車を回す人数のが大分多い。工房も点在してる。
家庭の事情で通えない人は、糸車と材料だけ持ち運びして、内職も可能だそうだ。

さてさて、時間がない。
森の工房で一番難しそうな絣を織っている
ソックオンさんに話を聞く。

ここまでで私は、
複雑な物を織ってる人はタケオ出身
という勝手な思い込みをしていた。

ところがこのソックオンさんはシェムリアップ出身。
17歳の時、友達に教えてもらいIKTTシェムリアップで働きだし、
始めはハンカチの縫製から、糸紡ぎを経て、
手に職を持ちたいという思いから布の織り方を覚え、
現在絣模様を織っている。

森本さんは、一人前の職人になるのに
最低10年は掛かると言っていた。
織物の里で育ったソッキアンさんとは違い、
ソックオンさんはIKTT生え抜きの職人と言える人だろう。
絣織
絣はとても緻密で難しそうに見えるので、
難しくないか?失敗は無いか?と尋ねてみた。
最初の1~2年は大変だったようだ。
だがカナールと呼ばれる糸の棒を、
番号順にすべらせれば問題なく、
カナール1
今では番号が無くても糸を見れば解ると話していて、
私とクマちゃんは思わず「すごーい!」
と声を揃えてしまった。

彼女は今年結婚したばかりの新婚さんで、
この時3ヶ月目の妊婦さんでもある。
この森在住ではなく、アンコールトム近くの村から
毎日自転車で通っているそうで、
しばらくしたら産休を取るつもり、とのこと。
子供の手が掛からなくなったら復職して、
50歳まで織り続けたいと話してくれた。

あまり作業の手を止めさせても悪いので、この辺りで切り上げる。

この後、工房から少し離れた蚕小屋へ。
繭と枝
この小枝の束の間に、蚕が繭を作る。

クマちゃんは、織りの道具の日本語も詳しいし、
「お蚕さま」という言葉を使う。
よく知ってるねと伝えると、
留学の権利を得る為に出た弁論大会で、
シルクをテーマにした作文を日本語で発表したことがあるという。
その為に、ここ伝統の森の「蚕祭り」を
取材しに来たこともあるそう…
なんとまあ…通訳としてこれほどの適任は居ない!

セレイアップさん
蚕飼育の昔ながらの道具が置いてある。

去年までは2カ所で飼育していたが、
今は1カ所にまとめられたという高床式の蚕小屋1階で、
3人の女性が話をしてくれた。

エーウさん シェムリアップ出身
シェムリアップのショップで勤めていた姪御さんの影響でここへ。

セレイアップさん カンポット出身
ウーさんと同じくカンポット組の1人

チャンティさん カンポット出身
ウーさんの姪御さんでニッちゃんの叔母さん
おおー…点と点が遂に線になった!

なんでも桑自体は、カンポットの方が沢山育てやすかったそうな。
こちらは洪水になり易い土地柄だから、
桑が病気になり易いと言っていた。

この小屋の裏にも桑畑がある。
こちらはみっしり!
桑畑2
バナナもたわわになっていた!
バナナの木
カワイイニャンコを見る度に、
いつか食べられちゃうのかなーと思ってしまう…
にゃんにゃん2
そんな話を後で森本さんにしたら、
蚕の天敵はネズミ、なので日本でも
養蚕農家は昔から猫は守り神なんだと教えてくれた。
にゃんにゃん
事前に知らされていたが、
ここでは蚕には会えなかった。
最近は、森に来るお客さんには披露していないらしい。
蚕自体がとてもデリケートでストレスが掛かり、
又、防虫スプレーを使ったお客さんが来ると
繁殖にも影響するという。

…ゴメンなさい、無神経にもバリバリ使っていましたm(_ _)m
そんなわけで、蚕に会うのは諦めていたけど、
クマちゃんが、シルクファームというお土産屋が
蚕を展示していると教えてくれた。
弟さんがそこで働いているという。

そんなこんなしてたら、発電機の音が聞こえてくる。
残念…タイムアップ!
クマちゃんには、またお願いするかもと言って別れる。
まだ1日半取材期間はあるけど、
残り時間をどう使うかでスゴく迷う…

疲れたし水浴び…と思ったら、
なんとこの日からお湯がジャブジャブ出た!
バケツにお湯貯めて浸かる!気持ち良い!
日本の風呂文化の良さをカンボジアで再認識。

長湯ではしゃいでたので、
スライプイちゃんの日本語授業はサボる…

入浴と洗濯を済ませると、今まで私1人だった
ゲストハウスへの来客が到着。
森本さんの日本在住の娘さんが、
しばらくこの森へ泊りに来たのでご挨拶。

夕飯は盛り沢山の人数でモリモリ戴く。
焼きサバと納豆が出た。

食後は森本さんとお話。
朱印船貿易時代に日本から東南アジアへ
降りついたお侍さんの、日本刀を見せて貰う。
刀
森本さんの神棚にガネーシャに阿修羅像、
古今東西の八百万の神が並ぶ。
八百万の神々
今日のインタビューの様子について
私も森の人達の顔と名前が一致してきたので
森本さんの話がより分かってくる。
その分やはり、インタビュー1日では足りないという思いを強くする。

例えば、元々ここで働いて腕を上げた人が、
他所に引き抜かれてしまったけど、
暫くしてまた戻って働いてる…なんて
出戻りスタッフなんかも居るらしい。
森本さんもなんで出戻ったのか興味があるご様子。
面白そうだから、やはり明日も通訳お願いしよう!
ゴロゴロ

…というわけで、クマちゃんに、
交換したFacebookでメッセージ送信を試みる。
成田で借りたWifiの電波が、この森では3本立たず…
調べ物がある時はネットを立ち上げるけど、
繋がり待ちの間がかなり時間泥棒!
デジカメの画像データも移せないし、
現地からのブログアップは諦めた次第。

前回の旅ではネットカフェでブログとか
まめにアップ出来てたけど、
あれはネットしか出来ないって環境が、
集中力を上げてたんだなぁ…

スマートフォンはとても便利だけど、
長い記事を書くには不向きですね。
他の余計なことをしたくなるし…。

とはいえ、外国で外人さんとダイレクトに繋がれる
時代の変化とFacebookの偉大さを思い知る。
クマちゃんは明日の通訳もOKしてくれた!

森の人達にも滞在にも慣れてきて、
スゴく楽しくなってきた頃にちょうど、
旅も終わりが近づいてくる。
…そういうもんなんでしょうかね?
丸一日の滞在は明日で最後。
充実させるよう気合入れて寝ます。

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